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米雇用統計(8月)レビュー

株式市場が注目している「米雇用統計(8月)」が発表されたので、レビューしたいと思います。

 

米雇用統計とは

 米国雇用統計は、アメリ労働省 労働統計局がアメリカの雇用情勢を毎月第1金曜日に発表するものです。内容は、「失業率」「非農業部門雇用者数」「週労働時間」「平均時給」「建設業就業者数」「製造業就業者数」「金融機関就業者数」など計10数項目あります。

 その中でも注目されているのは、大きく2点だと思います。

  • 失業率
  • 雇用者数(非農業)

 

 失業率は、労働力人口(16歳以上の働く意志を持つ人達)のうち、失業者の占める割合です。ニュースなどでもよく耳にする言葉ですね。

 雇用者数(非農業)は、農業部門を除く産業分野で、民間企業や政府機関に雇用されている人の数です。自営業や農業従事者は調査対象に含まれません。前月に対しての増減人数を表すので、増えた人数が多ければ多いほどほど、企業は人を雇えている状態、つまり景気が良いと判断されるものです。

 でもなぜ、農業や自営業は除いた統計を用いるんでしょうか?

アメリカでは業績が悪いとすぐに従業員が解雇されます。つまり、企業に雇われている人の数が多ければ業績はいいし、少ないと業績が悪くて企業が解雇していると言われています。

 雇用の安定が企業の業績、いうなれば「景気のバロメータ」になっているといえるでしょう。

 

市場が注目する理由

 現状に特化した言い方をすると、FRBアメリカの中央銀行)がインフレ退治をより強固にに進めていくかどうかの参考指標になるからです。 

 アメリカの金融政策を決定するFRBは、「物価の安定」「雇用の安定」を目標に掲げています。FRBが金融政策を決定する上で重要視している指標の一つが、「米雇用統計」です。

 FRBは先日のジャクソンホール会議でもあったように、景気をある程度犠牲にしてでもインフレ退治を1番対処すべきこととして、宣言しています。金融引き締め(金利引き上げ)を行っている真っ最中です。雇用者数が安定していれば、引き続き金融引き締めを継続する流れとなるため、今後の金融政策を占う上で世界中が注目しているのです。

 

8月の米雇用統計発表値

失業率 3.7%(市場予想3.5%)

雇用者数(非農業) 31.5万人増(市場予想30万人増) ※前月比

 失業率は、歴史的にもとても低い水準が継続されており、市場予想通りです。雇用者数(非農業)は、市場予想よりも若干上振れています。

 つまり、現在雇用は非常に安定しているといことが雇用統計から見て取れると言うことです。言い方を変えると、人手不足によって賃金がどんどん上昇し、インフレの原因の一つとさえいえると言うことです。

 ジャクソンホール以来、下落が続いた株式市場。7月から8月半ばにかけての楽観ムードが一掃され感じでしたが、今回の雇用統計を受けて、厳しい金融引き締めが続くことを改めて確認させられるようなものでした。