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日本消費者物価指数(CPI) 8月レビュー

日本消費者物価指数(CPI) 8月が発表されたので、レビューします。

 

日本 消費者物価指数(CPI)とは?

総務省が毎月発表している個人消費の物価動向を示す指標です。品目別の購買傾向の変動がわかり、インフレを測定する重要な手段となります。

 

消費者物価指数は、国際労働機関(ILO)が国際基準を定め、世界各国は国際基準にしたがい作成されます。日本では3つの指数があり、総合指数と、価格変動の大きな生鮮食品を除いた総合指数生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数があります。

 

ちなみに、アメリカでは2つの指標が用いられ、総合指数と価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたものがコア指数と呼ばれます。

 

日本 消費者物価指数(CPI)8月の発表値

▼前年比

 総合指数 +3.0%(市場予想+2.8%、前月+2.6%)

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数 +1.6%(市場予想 不明、前月+1.2%)

 

▼前月比

 総合指数 +0.3%(前月+0.4%)

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数 +0.2%(前月+0.5%)

 

市場予想を上回る形で、日本でもにインフレが着々と進んできた形です。品目別で大きいのは、食用油で対前年比39.3%と4割近く価格が上昇しています。食品をはじめ、電気代+21.5%、ガス代+20.1%と、生活の基盤となる支出の価格が増えていることを示しています。

 

日銀の目指すインフレ率は「2%」でありますが、今回のインフレ率3.0%で目標を達成しているかというと実は違うと言われています。

 

日銀はそもそもなぜインフレ2%を目標にしているかというと、日本は失われた30年でデフレスパイラルからなかなか抜けることが出来ていないからです。デフレスパイラルとは、景気が悪い→価格の安いもの中心に売れる→企業の収益が上がらない→給料が上がらない→生活苦しいから価格の安いものを買うことの繰り返しで、不景気から脱出できない状態のことです。

 

デフレスパイラルと逆のスパイラル(需要増える→物価上がる→企業収益上がる→給料増える→需要増える)にすることで、日本経済を成長させたいという狙いなのです。給料のなかなかあがらない一般庶民からすると、「物価高騰を目指すとは庶民の気持ちがわかっていない」などの論調になりがちですが、これは近視眼的すぎだと思います。

 

2%という数値が正しいかどうかはわからないですが、日銀の黒田総裁が2013年に就任してまもなくこの目標を掲げ、この間インフレ率は2%にほど遠く、約1%で推移してきました。つまり、デフレから脱却できていなかったということです。

 

これが直近、今回のCPIでも3%のインフレ率が示されました。これで日銀の目標達成かというと、そうではないところが難しいところです。理由は、現在のインフレがコストプッシュ型インフレだからです。

 

もともと日銀の目指していたインフレは、好景気によりモノがよく売れることで需要が供給を超え、モノの値段が上がる需要サイド要因のインフレ(ディマンドプルインフレ)でした。現在のインフレは、原材料や資源価格の上昇など供給サイドの要因で起こっています。日本は資源輸入国家ですから、資源価格上昇は日本にとってはあまりありが対ことではありません。

 

世界的にインフレが進む中で、日本はまだ3%というインフレ率ですんでいるのは、企業が痛みを吸収し、原価上昇分を製品の価格に転嫁できていないからです。ニュースでは、さまざまな価格が上がっていると取り上げられていますが、世界的に見るとそうでもないのです。

 

企業の収益が悪化すると、賃金は上がらず、モノがあまり売れず、不景気から抜け出せないのです。そういう意味で、現在のインフレ率3%は目標としていたものとは違う、あまりよくないインフレ上昇ということになります。